離婚時の厚生年金の分割制度(合意分割制度)は、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合において、離婚等をした当事者間の合意や裁判手続により按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の標準報酬を当事者間で分割することができる制度です。
按分割合を定めるためには、当事者は、分割の対象となる期間(婚姻期間等)やその期間における当事者それぞれの標準報酬の総額(対象期間標準報酬総額)、按分割合の範囲等の情報を正確に把握する必要があります。
按分割合の上限は50%です。
ただ必ず50%となるわけではありません。
妻自身も厚生年金に加入していた場合でも、当事者双方合わせて上限は50%です。
離婚の年金分割について離婚当事者が合意した場合、社会保険事務所に標準報酬改定の請求書を提出することになります。
その場合次のいずれかの書類を添付することとされています。
①当事者が標準報酬改定請求をすることおよび請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本もしくは抄録謄本または公証人の認証を受けた私署証書
※分割する側の人(第1号改定者)及び分割を受ける側の人(第2号改定者)の氏名及び生年月日、基礎年金番号が記載されていること
②請求すべき按分割合を定めた確定した審判の謄本または抄本
③請求すべき按分割合を定めた調停についての調停調書の謄本または抄本
④請求すべき按分割合を定めた確定した判決の謄本または抄本
⑤請求すべき按分割合を定めた和解についての和解調書の謄本または抄本
夫婦の協議で年金分割の按分割合が決まった場合でも、それを必ず公正証書または私署証書にする必要があります。
単なる口約束や離婚協議書の合意だけでは標準報酬改定請求はできません。
按分の割合は、通常は社会保険事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出して「年金分割のための情報通知書」の提供を受けて、そこに記載されている「按分割合の範囲O%を超え50%以下」となっていることから、その割合を当事者の合意の上で決定することになります。